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観て、聴いて、読んだもの、その他感じたことの所感


by anothersheep

どこまでも人間臭く

 前に書いたMUSEの音楽とはまったく異なるパワーを持った音楽。
 MUSEの音楽が(結果的に)我々が世界に触れるその一瞬の衝動を音楽で表現しているのであれば、The Last Shadow Puppetsは世界そのものを音楽という形式によって物語る。非常にそれは音楽の音楽らしい表現といえる。
 我々はその音楽という世界に浸るのだ。そして含まれる。

 いや、そんな音楽の本質論はいらん。
 ごちゃごちゃ言わずに聴くしかないな、これは。

 とにかく反時代的なこのサウンドとムードと歌声と...
 というか言葉を無力化する、言葉で改めて解釈することを(それでも解釈して、伝達したくなるのが人間の性だ)寄せ付けない魔法みたいな音楽。たまらん。

 素晴らしい音楽なら何でもそうだろうけど、まず人を否応なくその物語に巻き込んでしまう。無力化する。ただ、もう好き、というしかない。

 だから、彼らが現代に何故この音を鳴らすのか、とか
 何故、この音が画期的なのか、とかは大して重要じゃない。
 むしろそういうことを語ることでしか、言葉を紡げないような素晴らしき音楽ということ。

 たぶんこのアルバムは恐ろしく人間臭い音楽で埋め尽くされているのだ。
 恐ろしくたわいもない物事を恐ろしく大仰なドラマに仕立ててしまう人間についての音楽なのだ。

 いやはや、アレックス・ターナーは大した奴だ。
 イギリスってのはなんだかんだ言ってこういう逸材をどんどん輩出してくるんだから侮れない。こいつを才能だと決めつけるのは我々聴くものの勝手な思惑かも知れないけど、どうしようもなくそう思うんである。

 MEETING PLACEはすでにしてマスターピースだ。


 Age of the Understatement
The Last Shadow Puppets / / Domino
ISBN : B00151HZA6
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by anothersheep | 2008-04-30 01:25 | 音楽